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スルガ銀行は、静岡県沼津市に本拠を構える東証1部上場の地方銀行です。2004年までは漢字表記で駿河銀行でしたが、それ以降は現行のスルガ銀行の表記を正式に商号として採用しています。「スルガ」の名前は比較的早い段階から使用しており、1895年に前進の根方銀行が設立されてから1912年には駿河銀行へと変更されています。これまで色々と名称が変更されてきましたが、それ以来表記の違いはあれど、スルガ銀行の名称で営業を続けています。

また、歴代の頭取は1895年の創業から2016年まで一貫して岡野一族が務めていますが、2016年以降は米山明広頭取が就任したことで一族経営には終止符を打つことになりました。主な営業エリアは本店のある静岡県、そして、隣接県である神奈川県になります。また、店舗展開は東京都、愛知県、福岡県など12の都道府県に渡って行っています。

スルガ銀行は、地方銀行でありながら全国的に名前の知られている銀行の一つです。その理由には「ユニークさ」を追い求める経営姿勢が関係しています。スルガ銀行では「First entry is forever」という考え方を強く意識しており、これは、エベレストに初めて登頂した人の名前は多くの人が知っているが、2番目に登頂した人の名前はあまり知られていないことから、あらゆるサービスにおいても一番初めにそこに名を残さなければ名前も知られず、生き残ることができないという考え方になります。この考え方を根幹に置き、スルガ銀行はこれまで他の目を引くようなサービスをどの銀行よりも一早く導入してきた経緯があります。

例えば、もともと日本の銀行は法人取引が主流であり、かつては投資促進などの活動はあまり行っていませんでした。しかし、その中でスルガ銀行は素早く個人中心のリテールバンキングへとシフトし、個人向けのITインフラやサービスの拡充を進めてきました。その象徴とも言えるサービスが、「スルガVISAデビットカード」です。

業界でもかなり早い段階で導入されたこのカードは、クレジットカードほど厳しい審査も無く入会できるカードであり、与信枠等は一切ない代わりに、口座の残高から即時引き落としという形で利用できる特徴的なカードです。形式としては現金払いと変わらないように思えますがVISAでの決済を利用できるうえに現金を持ち歩かなくてよいという点やポイントが貯まるなどの恩恵を受けることができます。

もともとはJ-debitでの決済でしたが、2012年に楽天銀行が日本で初めてVISAを導入したのに続き、VISAを導入、もともとのデビットカードの知名度もあり、大きく普及する要因となりました。また、スルガ銀行が他の銀行よりも早くこうしたサービスを導入し、普及させることができたのには大きな要因があります。

VISAデビットカードはその性質上、自身で口座の管理をしながら利用する必要があります。そのため、口座残高をどこでも見られるインターネットバンキングの機能があることでより便利に利用することができますが、スルガ銀行は日本の金融機関の中でもまだインターネットバンキングの導入が進んでいなかった頃に、率先してこのシステムを導入したことで有名な銀行です。

中でも、他行、他社との提携には力を入れており、各企業向けにインターネット支店を開設しています。その例としては、ゆうちょ銀行提携ローンの利用者専用で利用できるスルガ銀行ゆうちょ専用支店やUSEN向けのイービジネスダイレクト支店CLUBUSEN、ガリバーインターナショナル向けのダイレクトワン支店ガリバークラブ、旅行会社のH.I.S向けに設立されているマイ支店ワールドキャビット、スルガ銀行ANA支店などその他にも実に多くの企業と提携してインターネット支店を開設しています。

こうしたインターネット上での利便性の高さは、スルガ銀行の活動拠点以外の地域の顧客層を呼び込むために大きく貢献しており、スルガ銀行の基盤強化に一役買っています。また、インターネット上での利便性だけでなくセキュリティ面にも力を入れており、「みまもりサービス」「バイオセキュリティ」というセキュリティサービスを導入しています。「みまもりサービス」はALSOKと提携し、同社が提携するホームセキュリティに連動、キャッシュカードの盗難が予想される場合などにおいてキャッシュカードを使用不能にするというものです。

また、「バイオセキュリティ」は静脈により生体認証し、本人確認を行えるという高次元の本人認証システムであり、様々なサービス向けに提供されています。こうしたことからも見て取れるように、個人向けサービスには非常に力を入れており、個人が利用できるノーロード（手数料0円）の投資信託や鉄道模型、ロードバイク、一眼レフカメラといった高額な商品の購入に際して利用できる専用ローンなども設けています。

こうした独特のサービスを多数持つスルガ銀行は現在、企業スタイルとして「All-Out Uniqueness」という方針をとっています。これは、徹底的に独自性を追求する経営を貫くことで、「他と比較できる差」ではなく、他とは比較できない「独創的な違い」を生み出していこうというものです。その目指すところは「お客さまの〈夢をかたちに〉する、〈夢に日付を〉いれるお手伝い」というミッションを達成することにあり、スルガ銀行は、日々そのミッションの達成に向けて営業活動を推進しています。独創的な戦略と一歩先行く個人サービスで注目を集めるスルガ銀行に今後も目が離せません。